衆議院は解散いたしました。
今回の総選挙は、日本にとって、また私・個人にとってもきわめて重要な選挙であることを深く心に期し、決意を新たにいたしております。
日本を再生し元気で活力のある、明るい未来を確信できる国にしていきたい、その実現に、これまでの経験を総結集し、自らが先頭に立って役割を果していきたいとの思いを強くいたしております。
わが国は今、かつて経験したことのない閉塞状況にあります。経済大国を誇った国が、長期不況から脱出できず、デフレ、金融不安、倒産、リストラにあえいでいます。財政赤字は増え続け借金大国となり、国民生活は、雇用不安、増税、年金、医療の不安などますます厳しくなっています。加えて、少年犯罪や凶悪犯罪の多発、治安の悪化はかつて日本にはなかったことです。長期不況とあいまって社会の荒廃をもたらし、市民の安全、安心が脅かされるなど、日本は自信を失いかけています。
その一方で、自民党政権の構造改革は進まず、明るい未来への展望を示すことなく、国民に痛みだけが重くのしかかっているのは、まさに政治の責任であります。このままの政治では日本が沈没してしまいます。
私は、一九九三年、このままの自民党の一党支配体制を継続すれば日本は駄目になってしまうと深刻な危機意識を持ち、同志とともに自民党と決別し、自らいばらの道を歩んでまいりました。細川・羽田内閣を創り、政治改革の実現も果すことができました。しかし、自民党は政権奪回のために手段を選ばず、宿敵・日本社会党と連立政権を作り、その後も連立の相手を変えながら、政権維持だけを目的に十年が経過いたしました。
「失われた十年」などといわれていますが、今日の政治、経済、社会の停滞、混迷、地盤沈下は、自民党政治の限界を何よりも証明する十年であり、その責任は重大で、他の国なら間違いなく政権交代をしています。
これまで、政・官・業の癒着など高度成長で既得権を謳歌してきた自民党が、自らのよって立つ基盤をなくすような構造改革ができるわけはありません。最初は小泉総理が自民党を壊すといって喝采を受け、今度は政策に反対だが総選挙の顔で止むをえないと、総理、幹事長を選ぶような政党、マニフェストで具体的な政策も示さず、人気とスローガンだけで国民の支持を得ようとする政党にこれ以上委ねることはできません。
民主党は自由党と合流し、名実ともに政権を担える陣容となりました。特に私は、この両党の合流にあたり、野党結集準備委員長として主体的な役割を果たしてきました。私が念願し、推進し続けてきた政権交代可能な二大政治勢力が生まれました。民主党はしがらみのない斬新で具体的な政策に加え、経験豊かな人、働き盛りの専門分野の人材、限りない可能性を秘めた若い人、と多士多彩で、新しい日本を切り開くだけの準備と陣容は十分に整っております。今回の総選挙で、皆さんの意思と行動で政権を交代させ、日本再生を民主党に任せていただきたいことを心からお願いいたします。
私は、神戸に生まれ、神戸で育ち、神戸の皆さんに国政に送っていただき三十余年が経過しました。戦後の苦しい時代も経験し、すべての人々が安心して暮らせる社会を創らねばとの一身で政治に身を投じ、行動してきました。
特に私は、この十年、政権交代のないところに本当の民主政治はない、政治に緊張も活力も生まれない、改革も出来ないと主張し続け、政権交代でしか日本を再生することは出来ないとの信念で、愚直に訴え、行動してきました。かつて自民党政治の転換を言ってきた多くの同志が、政治改革の志を失い、権力や地位にひかれて与党に帰って行きましたが、日本の現状と政治の低迷を思うとき、私の信念は間違いなかったと、ますます確信を深めています。
皆様のおかげで、これまで国会に送っていただき心から感謝いたしております。私は今回の総選挙を、私自身の政治生活の総決算として全精力を注ぎ、政権交代を実現させて愛するこの国を再生させ、新しい時代へと引き継ぐ捨石となる決意でおります。皆様におかれましては、どうぞ私の心情にご理解を賜りたいと存じます。
末筆となりますが、皆さんの更なるご健勝をお願い申し上げ、解散のご報告と時節のご挨拶とさせていただきます。
感謝、合掌
|
平成十五年十月十日 国会にて
民主党副代表 石井 一
|
|