私の新たな決意
この度、来年初夏に予定されております参議院通常選挙の、民主党公認の、全国比例区候補に内定いたしました。(八月八日発表)
長い間、神戸を中心とした兵庫一区で、皆様のご支援により、衆議院十一期議席をいただき、通算政治生活三十七年、この国の民主主義の進展、政治改革、そして未来への責任ある国づくりにまい進してまいりましたが、昨年の衆議院選挙において、全く意図せざる形で議席を失いました。多くの方々から心温まるお言葉やさまざまなご意見をいただきました。経済、財政、福祉、国民生活、治安、外交とどれをとっても、不安と混迷を深めている現状をみるにつけ、私の国政復帰への情熱は高まるばかりでした。幸いにも、このたび党の内定をいただき挑戦の機会を得ることができました。私は政治生命を賭して、必ずや皆様のご期待に応えていく所存です。
私はこの機会に、特に皆様に訴えたい三つの政治信条があります。
第一が、政権交代の達成によるこの国の民主主義の進展であります。次期参議院通常選挙で民主党が勝利することにより、政治の流れが大きく変わることになります。
私は長年、自民党政治の保守本流を歩み、自民党政治改革推進本部選挙制度部会長、後に衆議院政治改革特別委員長、自治大臣を務めるなど、政治改革の王道を歩んでまいりました。当時の宮沢内閣は、残念ながらその公約を破り、挫折いたしました。だからこそ私は、一九九三年、同志四十七名と共に、宮沢内閣不信任案に同調し、自民党に忠誠を尽くすよりも、国民に対して忠誠を尽くそうと誓い、自民党を離党することになりました。その後、多くの仲間がその思いをひるがえし、自民党へ復党し、またある人は政界引退を余儀なくされました。
その後の十数年間は私の政治生活は野にあり、決して順風満帆なものではありませんでした。しかし、自民党を一旦離党したからには、右顧左眄せず、この国に自民党に代わりうる政治勢力を結集し、二大政党制を生み育てることこそが私の使命であることを信じ、寒風に耐えつつ真直ぐに政治生活を送ってまいりました。その思いは、今となっても少しも揺らぐことはありません。特に小泉内閣の五年を経た今、この連立自公政治に任せておくことが日本を滅ぼすという思いは、より強くなる一方であります。だからこそ、私はこの「政権前夜」に一刻も早く国政の場に復帰をしなければならないという思いに駆り立てられています。
第二に、この国と国民の生命と財産、そして尊厳を守るための危機管理能力を備えた国家とするための行動と提案であります。
私の長い政治生活の中で、上記の政治改革とともに特筆すべきは、一九七七年のダッカ・ハイジャック事件、そして一九九五年の阪神淡路大震災であります。この私自身が死線をさまようことを余儀なくされた政治家としての体験が、今の日本の危機管理能力の欠如に対する警鐘を乱打するべきであるという強い信念に直結しています。だからこそ私は二〇〇四年暮、「国家危機管理国際都市構想」をまとめ、この国に副首都・NEMICを建設し、危機管理能力を格段に高めようと提言いたしました。
今や、国家の危機管理能力は単に国民の生命や財産を守ることだけではありません。危機管理能力はその国の象徴であり、国の経済面での競争力、そして未来の国づくりにまでも影響を及ぼします。危険度が高く、危機管理能力が低い国家、都市からは世界中の資本が逃げ出してしまう時代です。グローバル化が進展するこの世界において、どんなインフラよりも重要なのが国家の危機管理能力です。そしてその危機管理能力を高めるのは政治の要諦であり、他ならぬ国家危機管理国際都市構想の実現であると信じます。
第三に二十一世紀は間違いなくアジアの世紀であり、いまや近隣諸国との友好関係改善は、わが国最大の政治課題であります。いずれは近い将来、アジア経済連合体としての統合が実現し、アジアが一つになる時代がまいります。いまの自民党政治は、近隣外交でも失点を重ね、日本外交は最大の危機に直面しております。長年の私の国際交流は一九七〇年周恩来首相との会談に始まり、全世界に多くの友人や知己があります。昨今ではアジアの多くの国々の広い人脈を通じて民間と共同して、現在ワン・アジア構想を推進しております。
次世代にバトンをしっかりと引き継ぐ為に、私の政治生活の集大成として、政権交代・政治改革とともに、この国家危機管理国際都市の実現、ワン・アジア構想の推進を、何が何でも前進させ、任期中に一定の目途をつけたいと存じます。
これが私の人生における最後の大きな挑戦となることでしょう。この八月十七日で満七十二歳となります。一方で、私ほど今となっても気力体力が充実し、熱き情熱と、高き志を持った政治家はいないのだと、自負をしているところです。私の今回の決意にかける思いを、米国の詩人、サムエル・ウルマンの「青春の歌」に託し、来夏に向かっての決意としたいと存じます。
〜青春とは、年の若さを言うのではない。青春とは高き理想をかかげ、いつまでも燃えるような情熱とあつい志をもって、常にたゆまざる努力をかたむけ、まっしぐらに人生を突き進む人間の至純な気迫と精神力を持つことを言う。〜
二〇〇六年八月八日
神戸にて 石井 一